玉川堂(ぎょくせんどう)は、1816年創業の新潟県燕市に拠点を置く老舗の銅器工房で、伝統工芸技術を駆使した美しい鎚起(ついき)銅器の製品を制作しています。鎚起銅器とは、金属板を叩き上げて成形する技法で、長い歴史の中で受け継がれた技術と職人の熟練の技により、一つひとつ手作業で作られる銅器は、独特の風合いと深みを持ち、使い込むほどに美しく変化していくのが特徴です。玉川堂の製品は、日用品でありながら芸術作品としての価値も持ち、多くの銅器ファンに愛されています。
鎚起銅器の技法と職人技
玉川堂の銅器は、「鎚起」と呼ばれる伝統技法で、銅板を鎚で少しずつ叩きながら成形することで作られています。この技法は高い技術力と熟練が求められ、銅板が美しい器へと変わるまでに数多くの工程を経るため、1つの作品が完成するまでに多くの時間がかかります。職人たちは、銅の性質や温度に合わせて微妙に力を加減しながら、理想の形状と質感を引き出す技を持ち、その伝統技術は現在も変わらず守り続けられています。
製品ラインナップ
玉川堂の製品には、銅の美しさが際立つ湯沸(ゆわかし)や茶筒、花器などがあります。湯沸は、時間が経つごとに深まる色合いが魅力で、お茶を淹れる度にその変化を楽しむことができます。茶筒は、密閉性が高く、茶葉の鮮度を保つことができるため、実用性と美しさを兼ね備えた逸品です。また、花器や小物入れなども展開しており、どの製品も銅ならではの風合いと丁寧な作りが特徴で、和室から洋室まで様々な空間に調和します。
時の経過とともに変化する美
玉川堂の銅器は、使い込むほどに「銅の味わい」が増し、経年変化によって独自の風合いが楽しめます。銅は酸化により色味が変化し、使い手の手に馴染むことで、まるでその人だけの表情を持つ器に成長します。この経年変化を楽しめる点が、玉川堂の銅器の大きな魅力です。一生ものとして長く愛用でき、次の世代へと受け継ぐことができる品として、多くのファンに親しまれています。
修理とメンテナンスサービス
玉川堂は製品の修理やメンテナンスも行っており、一度購入した製品を永く使い続けることができるサポート体制が整っています。長年の使用で生じた傷や変色も、職人によって美しく修復され、再び新たな風合いを持たせることが可能です。これにより、世代を超えて愛用される銅器として、価値ある存在となっています。
工房見学と体験
玉川堂では、工房見学や鎚起銅器の制作体験ができるイベントも開催されています。職人が銅を打つ様子を間近で見学することで、伝統工芸の奥深さや魅力をより一層感じることができます。制作体験では、自分で銅を叩いて形を作る工程に挑戦でき、ものづくりの楽しさと難しさを体感することができます。
玉川堂は、200年以上の歴史と伝統を守りながら、現代の生活にも溶け込む美しい銅器を提供しています。日常の道具としての実用性と、時を超えて受け継がれる芸術品としての価値を兼ね備えた玉川堂の銅器で、心豊かな暮らしをお楽しみください。